毎週日曜日19:00〜20:00、ITeens Labの代表・古林と共同代表・近藤がお届けするライブ配信【教育をUPDATE】。

この記事では、配信の様子をダイジェスト版でお伝えいたします。

今回のゲストは、クリエイタークリエイターという独自肩書を持つ株式会社しくみデザインの代表取締役 中村俊介さん。

世界中の子どもが創造的になれるようにとの想いで直感的なビジュアルプログラミングプラットフォーム「Springin’」を開発。

福岡のプログラミング業界の偉大なる大先輩にプログラミング教育の必要性について話をお聞きしました。

株式会社しくみデザインの中村俊介さん。

株式会社しくみデザインとは

自己紹介をお願いします

しくみデザインという会社をやっている中村俊介です。

さきほど話にもあったように2人(近藤・古林)の大学(九州芸工大)の先輩で2004年卒業しています。

実はその前があって、名古屋大学で建築を学んでいましたが「建築向いてないなぁ」と思い指導教員に相談したら「九州に変な大学があるよ」と言われて、芸工大の大学院(デザインの研修室)に入学しました。入学したら周りが凄すぎてデザイナーを早々にデザイナーは諦めて、アルバイトで身に付けたプログラミングとある程度できたデザインの2つを掛け合わせた仕事、「メディアアート」を始めました。
その頃はそういう事をやっている人はほとんどいなかったけどね(笑)

その時に作った作品の1つが「KAGURA」というソフト。

(これは少し前に制作されたプロモーション映像)

芸工大卒業後は九州工業大学の先生になって、その1年目にしくみデザインを設立しました。

株式会社しくみデザイン(https://www.shikumi.co.jp/
2005年設立。福岡に拠点をおき、これまで数え切れないくらいの「楽しくて笑顔になっちゃうスイッチ」を押す仕組みをつくってきた実績がある。
「すごい」と思う前に何度も「楽しい」と感じれることを大切に仕組みを開発。

ずっとクリエイターとして活動していたけど、子どもが生まれたことをきっかけに、「みんなが気軽に何かを作れるようになれば良いな」と思い、Springin’を開発しました。

【Springin’(スプリンギンとは】

https://www.springin.org/

2015年に開発されたios(iPhone、iPad)対応の「創造的プログラミングソフト」。
「プログラミング」という言葉が付いているが、プログラミング教材として開発されていないのが大きな特徴。
「0から自分で何かを作ることをサポートするツール」「初めて手にするクリエイティブツール」という位置づけ。

3つの大きな“しくみ”
しくみ1 文字を使わないプログラミング
しくみ2 作品をマーケットへ出品
しくみ3 人の作品を遊んで学べる

作品を作った後が大事だと思うので、アプリ内通貨(仮想コイン)で作品の売買ができるようにしていて、今では1日100件以上が出品されるようになっています。また、誰かの作品の作り方を覗くこともできます。しかし、マネは出来ても自分の物として販売出来ないようになっています。
たぶん、自分たちがもともとクリエイターだった経験が活かされていますね。

全体的にクリエイター視点スタートの感じがしますね

そうですね!そこが大きな特徴で、他との違いとして。
全部違うと言えば違うんですが、やっぱり聞かれるじゃないですか(笑)
今は小学校への導入や、権威のある方からの評価も増えています。アプリユーザーの方が答えてくれているアンケートとか全部見てると泣いちゃいます(笑)
また、男女比でいうと珍しく女子の割合が高いです。(男子54%、女子46%)

女の子に優しいすね。Springin’。

うち(ITeens Lab)の教室は女子の割合は2、3割なんですよ。

そうですよね。そういう意味でもSpringin’を導入してもらうと女子に刺さりやすいかもね。

独り歩きしてしまった「プログラミング教育」ということば

プログラミング教育現状に対して、中村さんが持つ課題感ってどんなものがありますか?

そもそもプログラミングを全員が学習する必要があるのかという問題があって、僕的には必要・不必要でいえば「必要」だと思うけど、プログラマーになる必要はない。

(プログラミングを勉強したからプログラマーにならなきゃ)考えがごっちゃになっていて、教える側が困っている。だから「プログラミング教育」って言わない方がいいような気がします

悩みますよね。それ。
「プログラミング教育」として国が旗が上げなかったら、進まなかったからしょうがない気もするけれど、あまり「プログラミング教室」とは言いたくないですね(笑)

プログラミング教育大事って言っている人があんまりプログラミング大事と思ってない感じがあるじゃないっすか(笑)僕たちは、プログラミングは手段の1個だと思っているけど、それしかない思うのは違う。でも、プログラミングを体験したから分かることもありますよね。
難しいことを言っても伝わらないという苦肉の策で文科省などが「プログラミング教育」と言い出したような気がします。
言われたとおりに動かしたらプログラミング出来ました。
みたいなことになっているのは「どうしたもんかなぁ」と思ってみています。

中村さんいいすね。

言ってくれて気持ちいいっす。

俺とかこばさんが言うより利害関係ありそうですけど(笑)

利害関係ってあるのかなぁ(笑)多分ないでしょ。
僕個人の意見であって、会社の意見じゃないんで。

個人的に文科省は考えたのだとは思うんよ。日本でプログラミング教育を広める理由は上流設計者を増やそうという事だと思っていて。コーダーは海外にいっぱいいるし。
まぁ、公には言いにくいけど。

上手くやったつもりで「プログラミング教育」って言ったら批判がきて、「論理的思考が」って言ってしまって余計に分かりにくくしてしまったと思います。

その通りだと思います。文科省の文章とか見るとめっちゃ良いこと書いてあって、ちゃんと伝わればよかったけど、現場に落ちていく過程で変わってしまったと思います。

(文科省が)分かりやすい動画とか用意してくれているけど、みんな文科省のHPとか見ないから伝わらないでしょうね(笑)

(プログラミング教育は)必要だと思うけど、やり方がまだ残念な感じがしますよね。

業界で「これが大事だ」「あれが大事だ」って言い合いになるけど、全部が大事じゃないってなります(笑)

そうそう。みんな大事だよ(笑)

好きこそものの上手なれ 作る楽しさが一番大事

僕たちは一個の結論に辿りついていると思っていて、ITeens Labでは「ITパスポート合格講座」を始めたんですよ。ある程度PCが触れる、分かるで十分だと思っていて。
とにかく触れるみたいな。

なぜ子ども達にSpringinを使って欲しいかというと「プログラミングそのものを楽しく感じて欲しい」からなんです。

学校で変な教わり方をして嫌いになることが問題だから、プログラミングの手前でPCとかタブレットを触るのが楽しい、(作品を)作るの楽しいってなるのが大事。

思ったことを形にできる体験が大事ですよね。

子どもに何かを嫌いにさせるのは簡単だからこそ、そうさせないのが大事で。
(子どもって)好きになれば勝手に火がついて、好きに進んでいくから途中で燃料(新しいツールなど)を足してあげるだけで十分ですよね。

宣伝みたいになっちゃいますけど、(好きになって勝手に進んでいける)ツールが無かったからSpringin’を作った所はあります。(好きになれば)あとで絶対勉強するのに、先に勉強させるのが嫌なんですよ。

学習コスト(時間・お金)を下げて、とりあえず始められる環境になるように意識して開発しました。

今のこどもが大人になることには、コードの作りとかを完璧に理解していなくても大丈夫になるじゃないですか。

そうそう。だからこそ「作るのが楽しい」って思えるのは大事だし、(大人は)そこをお膳立てできればいいと思います。

中村さん、貴重なお話ありがとうございました!
自分の思いが形にできて、学ぶ前に「作るのが楽しい」と思える環境づくり頑張っていきましょう。