毎週日曜日19:00~20:00、ITeens Labの代表・古林と共同代表・近藤がお届けするライブ配信【教育をUPDATE】。
本記事では、配信の様子をダイジェスト形式にてお伝え致します。
今回のゲストは、子どもたちにOSSを活用した無償のプログラミング教育を提供することを目的とした特定非営利活動法人『ニュークリエイター・オルグ』より、理事長の『改野由尚《かいの よしひさ》』さんと、副理事長の『浅賀巧匠《あさが こうしょう》』さん。
『オープンソース』化された教材や今後の学校プログラミング教育について、お二人からお話を伺いました!
次世代の学びを提供する『ニュークリエイター・オルグ』

ゲストの浅賀巧匠さん(左下)・改野由尚さん(右下)
お二人、自己紹介をお願いします!
よろしくお願いします!
改野由尚《かいの よしひさ》です。
特定非営利活動法人『ニュークリエイター・オルグ』の理事長を務めています。
元々プログラミング教育をやってたの? それとも、プログラミングが先?
僕は元々プログラミングが先ですね。
そこからプログラミング教育のほうへ転向した、という感じです。
プログラミングを始めて、半年ぐらい経ったころだったと思います。
浅賀さんもお願いします!
よろしくお願いします!
浅賀巧匠《あさが こうしょう》です。
改野と同じく、『ニュークリエイター・オルグ』で副理事長をしております。
プログラミング教育や理科教育に関する教材開発や、イベントの企画等を行っています。
よろしくお願いします!
それでは、『ニュークリエイター・オルグ』について詳しく教えて貰っても良いですか?
はい。
『ニューリエイター・オルグ』は、次世代の学びを『オープン』に制作する、提供するNPO法人です。
『オープン』なポイントと致しましては、ウチで扱っている教材というのは、誰でも無料で使えて、そして改変できる『オープンソース』と呼ばれる形で提供されている教材なんです。
それらを開発したり、利用したイベントの企画を行っています。
素晴らしい理念だと思います!
日本におけるプログラミング教育の環境はまだまだ発展途上なので、今はプログラミング教室同士でシェア争いをしているようなタイミングじゃないし――
――それこそ『オープンソース』のように、プログラミング教室同士で情報をシェアしあって、お互いにレベルの高いものを作れるように協力していく必要がある、と僕ら(注・Iteenslab)のほうでも考えています。
都会のほうでこそ、プログラミング教育を必要としている子ども達に対してプログラミング教室のほうが多いというような状況にありますけれど、地方のほうだとそういうわけにもいかなくて……。
そういった所に関しても、皆さんと協力して、もっと教育の質を上げていければと思っています。
事業を展開するにあたって、イベント等を行う場所については、教室のような拠点を構えているんですか?
それとも、イベントを頼まれたらそこへ赴いて(イベントを)行う、というような形態なんですか?
元々は活動の拠点を構えていたのですが、このコロナ禍のご時世もあって、実際には活動が停止してしまっている状況です。
なので、今は教材開発のほうへ力を注いでいます。
それじゃあ、元々はイベントを中心に活動されていた、ということですね?
はい。
だとすれば、ますますこのコロナ禍の状況が苦しいですね……。
本当、そうですね……(苦笑)
オンライン教育に対する所見
お二人は今学生さんですので、僕たちよりも生徒の方達に近い目線をお持ちだと思うのですが、オンラインに教育の場が移行していることについてどう思いますか?
オンラインでやることに私たち(注・改野さんや浅賀さん達、『ニュークリエイター・オルグ』の方々)のほうは慣れているのですが、デジタルネイティブの子達と言えど、実際に四六時中ネットやパソコンに触れている子って意外と少ないんですよ。
その中で、教育の場をオンラインへとシフトしていくことに、やはり難しさを感じています。
また、元々オフラインでのイベントを中心に活動していたこともあって、オフラインでの強みをオンラインでの授業等へ活かすことができない、というのが、非常に辛いな、と思っています。
『オープンソース』で実際に提供している教材について
実際に提供している『オープンソース』の教材には、どのようなものがあるのですか?
『ハックジャパン(注・『ニュークリエイター・オルグ』の前身にあたるNPO法人)時代から続く『micro:bit』に関するノウハウを活かし、それを引き継ぐ形で『ニュークリエーター・オルグ』でも『micro:bit』を扱う教材を用意しています。
また、現在私共のほうで準備を進めている『テレラボ』というオンラインでプログラミングと理科を一緒に学べる教室では、『obniz』と呼ばれるマイクロコンピューターを使用して授業をする予定です。
そして『obniz』のポイントと致しましては、インターネットを通じてコマンドが実行されるので、これまで『micro:bit』を用いてオンラインで授業を行う際に課題となっていた、『相手の手元が見えない』という課題を解決できるところとなっています!
へ~。それ、俺も興味あるな……。
シリアルコードで各マイクロコンピューターとシステム中のIDが紐づいているので、シリアルコードをプログラムの中に打ち込みさえすれば、インターネットに繋がっているマイクロコンピューターをどこからでも遠隔操作できるんです。
ですから、講師のほうから生徒のマイクロコンピューターを動かすことができますし、逆も然りで、生徒のほうから講師のマイクロコンピューターを動かすこともできます。
これにより、マイクロコンピューターを使用したオンライン授業が格段にやりやすくなると思い、今回入手しました!
なるほど、『obniz』……。ありがとうございます、勉強になります!
そしてこれも、『オープンソース』として教材が配布されるんですか?
そうですね。
現在は開発中ですが、開発ができ次第、『オープンソース』として教材を配布する予定です。
ということは、その教材は、僕ら(注・ITeens Labを始めとする、『ニュークリエイター・オルグ』以外のプログラミング研究に携わる人々全体)も使うことができて、使わせてもらう代わりにフィードバックをお二人のほうへ返していくことで知見を溜め、よりレベルの高い教材を作り上げていくことができる、っていう解釈で間違ってないですよね?
はい、その通りです。
『オープンソース』教材を学校へ導入するまでの道のり
オープンソースの教材を学校なんかに入れていく動きって、『ニュークリエイター・オルグ』の中にあったりするんですか?
最終的にはそれを目標にしています。
まずは学習塾なんかに働きかけてみて、それが上手く行ったら私立の小中学校に。そして最終的には公立のほうへ、というような感じで行こうと思っています。
なんていうか、悪い企業って言ったらアレだけど――利権を取りたい大企業が、教育のほうに食いついて行っちゃったりするよね。
それ新しく開発する必要性あった? みたいな教材売りつけてたりするし。
それもあり得ないくらい高い、みたいな(笑)
scratchがそもそも無料なのに、それに近似したソフトの有料版要る!? みたいなのもあるね(笑)
なんか、本当に政治力だよね(笑)
行政に対して『高い教材を提供する』大企業と、『オープンソースで無料の教材を提供する』自分たちが並んだら、絶対的に自分たちのほうが利点が多いわけで。
そういう部分で負けないように、頑張って行きます!
僕らから、ボトムアップしていくような感じで、日本の教育を変えていけたらな、と思います!
プログラミング教育だけじゃなくて、海外は教科書なんかも『オープンソース』化されてたりするのに、日本は比べて凄く検閲された教科書を何年も何年も使って……もっと新しい情報を取り入れなきゃな、と。
子どもたちにフィットさせるにしても、先生が一からプリントを作ったりするよりも、『オープンソース』の教材を少し改変するほうが効率が良いし、『オープンソース』がもっともっと浸透して欲しいですよね。
改野さん、浅賀さん、『オープンソース』と教育の可能性について、貴重な意見をありがとうございました!

改野さん、浅賀さん、ありがとうございました!
配信はこちらからご覧いただけます。
ライブ本編では、お二人や『ニュークリエイター・オルグ』の方々がマイクロビットを用いて教材を開発することにして決め手や、『エクサキッズ』に『ニュークリエイター・オルグ』がブースを出店する可能性、『KidBright』というマイコンボードについて等、本記事にて取り上げたこと以外にも、目を引く話題が盛り沢山です!
概要欄に目次もございますので、気になるところだけでもぜひご覧ください!
また、ゲストのお二人が理事長・副理事長を務める『クリエイターズ・オルグ』のサイトはこちらです。