毎週日曜日19:00~20:00、ITeens Labの代表・古林と共同代表・近藤がお届けするライブ配信【教育をUPDATE】。

本記事では、配信の様子をダイジェスト形式にてお伝え致します。

 

今回のゲストは、プログラミングスクール『TENTO』より、代表の『竹林暁《たけばやし あきら》』さん。

ITeens Labの師匠である竹林さんから、コロナを期にオンラインへと場を移したプログラミング教育の新たな形態と、その長所や課題についてお話を伺いました!

 

プログラミング教室の先駆者、竹林さん

まずは、軽く竹林さんのほうから自己紹介をお願いします。

 

プログラミングスクールTENTOというのを関東でやっています。始めたのが2011年ですので、日本で最初にプログラミング教室を始めたと思っています。

ITeens Labと竹林さんの歴史

お二人に初めてお会いしたのは2014年ですね。市川でお会いしました。5人くらい生徒が居るようなところに、お二人(注・古林、近藤)が探して来てくれたんですよ。

ちなみにその時は既に、お二人はプラグラミング教室を始めてたんですか?

 

そうですね――その時はまだ教室自体は始められてなくて、体験会やイベントのようなものをやってました。

そこにちらほら人が来てくださっていた、くらいの感じですね。

 

ちょっとここで竹林さんとの出会いの歴史を解説させていただきますと、僕(注・近藤)と古林が2013年にバンド活動を終了しておりまして、バンドを解散した後――2014年に、二人(注・古林、近藤)の間で何かを始めようという話になった中で、こばさんがプログラミング教育をこれからやったほうが良いという話を持ってきて、急にやることになったんですよね。

 

そう(笑)

二人(注・古林、近藤)で長いこと色々調べながら話してたんですよ。

そして僕達二人が変に世の中のことを考えるタイプだから、「自分が儲かるだけではダメで、世の中の役に立つことしかしない」みたいなことを近藤とはずっと話してて、「これなんじゃないか。日本のIT教育を進めるべきじゃない?」みたいなことになり、やっていくことになりましたね。

 

ただ、それで行こうとなったは良いものの、2014年当時、(プログラミング教育を)やっているようなところが他にあまりなかったんです。

2014年って、プログラミングの義務教育化がまだ決まってなかったわけなので。

そしてとりあえず分からないとなった際に、「なんか『TENTO』っていうものがあるらしいぞ」とこばさんが見つけてきて――

 

――それでとりあえず「会いに行ってみよう!」ということになり、行きましたね。

 

初めて来たときは、本当に「変わった人が来たな」と思いました。

当時は黎明期だったので、やっぱり色々な人が見学に来たんですよ。その人たちに話を聞いてみると、大手の塾の人だったりパソコン教室をやってる人だったりがほとんどでした。

その中にいかにも音楽の人です、というような人達が来ましたからね(笑)

でも、実際に話してみるとお二人(注・古林、近藤)はすごく熱いものを持っていらっしゃったんです。

 

コロナを期にオンラインへと形態が移行したことについて

オンライン化したことによる課題や良いところなど、何かありますか?

 

ありますあります。

オンラインの一番良いところは、やっぱり色々な人に会えるというところだと思いますね。

今まではリアルで教室に行ける生徒と講師しか会えなかったけれど、今は教室を越えて――なんだったら教室なんて関係なしで、遠くの人に会えるわけじゃないですか。それはもちろん子どもたち同士でも同様で。「物理的な距離に縛られることなく会える」っていうところが、本当に良かったかな、と考えています。

 

ちなみにその辺りどうお考えですか?

 

まったくその通りだと思います。

それから一番良かったなと思うのが、専門性に従ってクラスを編成できていることですね。

「子どもたちがやりたい専門性が高くハイレベルなことに合わせてクラスを編成して、そのクラスに合わせて専門性の高い講師をあてられる」という部分がすごく良いな、と思っています。

例えば僕は、今現場で「ITパスポート試験合格講座」っていうのを受け持っています。

 

(注・ITパスポートとは、先端的なテクノロジーの概要に関する知識をはじめ、経営全般やマネジメントなど、それらを運用していくにあたり必要になる幅広い分野の知識を問う『国家試験』のこと。筆者の感覚では、子どもが受験するには割合難易度が高い)

 

一番(年齢が)下の子が小6なんですけれど、でも小テストをやると7・8割は取れるんですよ。

都合、これくらいの(レベルの)知識課題でも、やっぱり興味があって挑戦したいっていう子なんかは付いてこられるんです。

もちろん、ある程度の知識や子どもを指導する経験、そして子どもに分かりやすく伝える能力だったりが必要なので、他のスタッフが教えるのは中々難しかったりするとは思います。

 

他にも、ウチでは動画クラスだったり女子限定クラスっていうクラスを展開してて、割合「ウケ」が良いんですよね。

そして教えたいところを教えられるので講師たちにもやりがいがあるし、子ども達にとっても好きな先生の元で学べるので、それに関してはすごく良い方向に向いているかな、と感じてます。

 

他にも、ITeens Labではこのようなクラスを展開しています。(画像・1を参照)

画像・1

(注・配信当時のシステムです。現在のものとは異なる場合がございます。現在のシステムについては、こちらよりご確認ください)

TENTOが行っている授業のシステムについて

「TENTO」におけるクラス分けというか、授業の編成はどのように行われていますか?

 

授業の編成については、基本的に毎回その場で決めています。

講師が7・8人居て、そこへ好きなように生徒が分かれていくような形ですね。

 

なるほど、僕ら(注・ITeens Lab)よりもさらに自由な感じですね……。

 

ええ、めっちゃ自由ですよ(笑)

 

このやり方だと、先生のスキルの幅の広さが求められますよね。

 

そうですね。

もちろん、なるべくできないことがないように勉強はしますけれど、できないことはできないって言えばいいし、その上で子どもと一緒にやれば良いですから。

 

そして、例えば今日だとこのような編成で行っていました。(画像・2を参照)

画像・2

「ロビー」というものがあることが特徴ですね。

自分の行きたいクラスが分かっている子は直接そこへ行けば良いのですが、何処に行けば良いのか分からない、というような子のサポートをここで行います。

イメージとしては学校における保健室のようなもので、教室で上手くいかなかった子が保健室で泣いたりするじゃないですか。アレと同じような、各教室で上手くいかなかった子どものケアを行う役割を「ロビー」が担っています。

ただ、かなり子どもを理解していなければこの役割を行うのは難しいですから、子どもたちの顔を一番知っている私(注・竹林さん)がロビーを担当していることが多いですね。

 

毎回その場で入るクラスを決める、というのがやはりポイントです。

予め入るクラスを決めておいても良いんですけれど、「子どもが自主性を持って毎回選択する」ということを意識的にやって欲しいですから、その理念の下、このシステムにしています。

 

今、TENTOに入ろうと思ったら、入るクラスを決めるわけではないので、参加する時間を決めるという感じですか?

 

はい、そうなります。

何曜日の何時から参加する、と決めておいて、参加した時間の中でさらに先生を選ぶ、という形になりますね。

 

ただ、マニアックなことをやる人ってどこにでもいるわけじゃないじゃないですか。だからこのやり方だとマニアックな人が集まれないんですよ。

でも、彼らだって同じレベルの人達と交流したいでしょうし、彼らのような人を集めてあげる必要があると思うので、ITeens Labのようにある程度はクラスをレベルで分ける、具体的には「マニアックな人は何曜日に」とさらにこの中で分類し、曜日を分ける必要があると考えています。

ですから、今後はもう少しシステムが変わるかもしれません。

 

オンラインに向いている子、向いていない子

今の形態のオンラインに向いている子と向いていない子っていうのは確実に居ます。

私が向いていると思うのは、自分の意思や考えだったりを、しっかり言葉で表現してコミュニケーションを取れる子ですね。

だけど、講師――大人の側が察してあげなければならない子っていうのが居るのも事実です。

何かをやってて、それを「楽しめている」のか、あるいは「楽しめていない」のかがイマイチ掴めない子っているじゃないですか。よくよく一生懸命丁寧に話しかけ続けて、ようやくどうなのかが分かったりするわけで――――そういう子に関しては、(今の形態の)オンラインで授業を行うにあたって、(対応や指導が)すごく難しいですよね。

 

(子どもの意思や意見を)引き出すのって難しいですよね。

オフラインだったらちょっとした表情なんかで分かったりするようなことが、オンラインになるとそれが見えなくて、分からなかったりしますから。

オフラインで実際に触れ合うよりも、やっぱりオンラインだとどうしても講師のほうが得られる情報が減ってしまって、その子に合わせた対応が取りづらくなってしまいますよね。

 

特に小さい子なんかはやっぱり難しいですね。

オンラインになってからは、やはり(TENTOに)来ている子の年齢がぐっと上がっています。もちろん、私達のほう(注・TENTOを運営されている竹林さん達)で対象年齢を引き上げたのもあるのですけれども。

 

子どもの認知の特徴

大人とは違う、子どもの認知の特徴っていうのがありますよね。

きっと、大人と子どもではリアリティについての感覚が違うんだと思います。粗いドット絵だったとしても、子どもはそれを一つのリアルとしてすんなり受け入れることができる。

でも、大人だとそうはいきませんよね。その点については、粗い解像度の世界における学習の機会を、我々大人は失ってしまってるんだと思います。粗ければ粗いほど、プログラミングで扱うのは簡単ですから。

もちろん、大人も『ノスタルジー』としては楽しむことができます。

けれど、それを『リアリティ』として楽しむことができるのは、子どもの一つの武器だと思いますね。

 

確かに、自分の解像度のまま子どもに接してしまっていることはあるかもしれません。

もちろん、それが良い時もあるとは思うんですけど――要するに、変に落とし過ぎるのも良くないとは思いますし。

 

同じ目線に立つというのも難しいですよね。

子どもの目線に合わせて同じ解像度で話さなければならないんですけれど、でも、どうしても根本的に解像度が違うから難しい。

 

「違う認知のフェーズにある」ということは、やっぱり自覚しておかなければならないですよね。

 

竹林さん、子どもプログラミング教育に関する深い知見、そしてオンライン形態へと移行したことによる課題等についての貴重なご意見を、ありがとうございました!

竹林さん、ありがとうございました!

配信のアーカイブはこちらからご覧いただけます。

ライブ配信本編では、『EXAKIDS』が生まれた裏話や、子ども達へ大人がしてあげるべきこと、そして子どもにコンピューターを与えることに対する勘違いの可能性等、本記事にて取り上げた個所以外にも、目を引く話題が盛り沢山です!

概要欄に目次とタイムスタンプもございますので、気になるところだけでもぜひご覧ください!

 

また、ゲストの竹林さんが代表を務めていらっしゃるプログラミング教室『TENTO』のホームページはこちらで、『TENTO』のyoutubeチャンネルはこちらです。