はじめに
これを見ているみなさんにとって「アウトプット」という言葉はピンとくる言葉でしょうか。
単純に和訳すると「出力」となりますが、今回はプログラミング学習を例にとって「作ったものを世に出す」こととします。
今回はスタッフの堺が、そのアウトプットがいかに重要であるかというお話をします。
アウトプットが重要な3つの理由
アウトプットすることで起こる3つのことが、アウトプットが重要な理由だと考えています。
これらをITeens Lab.の生徒たちが行なっている、「Scratchでの作品制作」を例にとって説明します。
他人からのフィードバックを得る
scratchでは作品を共有することで、全ユーザーがそれを見ることができるようになります。
ユーザーは共有されている作品を見て「お気に入りに追加する」、「いいねボタンを押す」、「コメントを残す」ことができます。これらが全てフィードバックとなります。フィードバックとは「作品に対しての評価を作成者に返す」ことを意味します。
この「他人からのフィードバックを得る」ことが作成者に与える影響は非常に大きいものです。お気に入りへの追加数やいいねボタンが押された数が多ければもちろん嬉しく、次への作品制作にもやる気が出ることでしょう。反対に少なければがっかりすることもあるでしょう。次こそは、と燃えることもあるかもしれません。コメントを残してくれるユーザーがいれば、直接その人の声を聞くことになります。その内容には様々なものがあるでしょう。「よかった」、「楽しかった」という嬉しいコメントもあります。「こういうバグがありますよ」といった、自分では気づかなかった点を指摘してくれるコメントもあるかもしれません。
このようなフィードバックは全て、次の作品制作に繋げることができるのです。
自分の力を知ってもらえる
「百聞は一見に如かず」という言葉があります。
自分の実力を示すには「これができる」と話すだけでは伝わりません。英語の実力を示すのに英検やTOEICのスコアを見せるように、プログラミングができることを示すには自分の作品を見せるのが一番早く、そしてわかりやすいのです。
子供向けプログラミング教室において、子供たちに課題や練習問題を与えて力をつけてもらうという方法が一般的な形態です。しかし子供たちが本当に力をつけているのかは、自分1人でどれだけのものを作れるかを見るしかありません。
アウトプットすることで得た経験がインプットになる
自分の作品を共有することで様々な反省点や改善点が見えてきます。
他人からのフィードバックで得た気づきもですが、自分でも気づくことがあるでしょう。自分が想定していた期間で作品を完成させられたか。自分がしたかったことは全てできたのか。もっといい方法は見つかったのか。
scratchで簡単なゲームを作り公開している人は多いですが、それを他の人にも遊んで欲しい場合、そのゲームの操作方法などを書く必要があります。自分では完璧に操作方法をわかっているゲームも、初めて見る人にとっては何のことやらわからないのです。作品を他人に見せることを考える場合、ただ作るだけの時よりも多くのことを考えなければならない、といったことに気づけるでしょう。
そうした経験はアウトプットしてみないと得られないのです。
終わりに
scratchの開発者である、MITのミッチェル・レズニック氏はクリエイティブな子供の教育には「クリエイティブ・ラーニング・スパイラル(Mitchel Resnick 2007)」が重要であるとしています。これは「想像し(Imagine)、作り(Create)、遊び(Play)、他人と共有し(Share)、振り返る(Reflect)。そしてまた想像し・・・。」という繰り返しを意味しています。今回のテーマである「アウトプット」は「共有(Share)」に当てはまり、創造的思考を育む上でも重要なことがわかります。
(出典:https://iteenslab.com/wp-iteenslab/wp-content/uploads/2018/08/CC2007-handout.pdf)
しかしアウトプットが重要だとしても、それを実践する場はなかなかないものです。Scratchでコメントをもらうことは想像以上に難しいのです。
ITeens Lab.ではアウトプットの場として発表会を行なっています。同じ部屋にいる子供たち同士で作品を見せ合うことも、十分にアウトプットしていると言えます。また福岡市内で開催された、ITeens Lab.代表の古林侑樹が実行委員長を務めたエクサキッズ2018のような、大きな舞台でのアウトプットも生徒たちに積極的に促しています。
ITeens Lab.は子供向けプログラミング教室という側面を持つのはもちろんのこと、このようなアウトプットを行える場となっています。