毎週日曜日19:00〜20:00、ITeens Labの代表・古林と共同代表・近藤がお届けするライブ配信【教育をUPDATE】。
この記事では、配信の様子をダイジェスト版でお伝えいたします。
今回のゲストは、一般社団法人OMOYAI代表理事の中井多恵さんと、福岡市の認可保育園に勤める保育士の由衣さん。
幼児教育に関わるお二人と、子どもへの声かけのコツや、子どもの発達に応じた環境の作り方についてお話ししていきます!
大人も子どもに対して感情を伝える
「自己紹介をお願いします。」
「一般社団法人OMOYAIという会社をやっており、統合医療をもとにしたお母さん向けの講座や子ども教室をメインに活動しています。また、企業様や大学等で講演をさせていただいています。
高校2年の息子を持つ母親でもあります。」
多恵さんは今まで何度か教育をUPDATEにも参加していただいた、中井けんとさんのお母さんです。過去の中井けんとさんの動画はこちら。
「私は福岡市の認可保育園に勤めております、保育士11年目の由衣と申します。
現在は小規模の保育園の副主任という立場で、実際に子どもたちと毎日生活を共にしています。」
「今回のテーマが『子どももママも楽になる声かけ』ということなんですが、子育ての中で子どもへの声かけに悩んでいらっしゃる方は多いんですかね?」
「わたしはそう感じますね。
親が『いい声かけをしなきゃいけない』と頑張っているイメージがあります。」
「多恵さんは、子どもへの声掛けでどんなことを意識していますか?」
「基本的に声かけにおいても、大人と子どもという意識ではなく、対等でありたいと思っています。
わたしは、なるべく自分の感情も話すようにしています。子どもの反応を見ながら『その子が今どう思っているのか』を意識して、こちらも感情を伝えるようにしています。」
「マイナスな感情も伝えるということですか?」
「はい。たとえば、『今怒っている』ということもごまかさずに伝えます。なるべく行動には出さずに、冷静に感情を言語化して話すようにしていますね。
感情を伝えることで、『大人も一人の人間なんだ』ということを感じてもらいたいと思っています。」
「たしかに、先生とかも正論ぽく怒るのではなくて、素直に『今怒っている』と正直な感情を伝えてくれた方が信頼できますよね。」
「子どもは意外と表情を読めたりするじゃないですか。
だから『この人、表情と言っていることが違う』ということをなるべくなくしたいんですよね。」
「心理学的にも、感情と表情や、表情と言葉を一致させることはすごく大事と言われています。」
よくない声かけの仕方
「お二人が幼児教育に関わる中で、こういう声かけはよくないなというものはありますか?」
「たとえば、『ありがとう』『ごめんなさい』を言わせようとするとかですかね。」
「子どもたちは、やらされているということがわかっていますよね。」
「ちゃんと理由や意味を伝えて、それを子どもが理解するということが大切だと思います。
他にも、たとえば、「なんでお片付けできないの?」など、できないことに目を向けた声かけは気になります。『なんで〇〇できないの?』という問いかけは、親目線の声かけで、子どもにとって答えにくい質問ですよね。」
「ひたすら子どもを問い詰める感じになってしまいますよね。」
「親の独り言と、子どもへの問いかけの線引きをしたらいいのかなと思います。
たとえば、「なんでお片付けしないの?」は親が子どもに片付けて欲しかったから出ている言葉で。片付けて欲しかったなら、『どうやったら片付けられるか』『片付けられない要因は何か』を整理して声をかける必要があるのかなと思います。
親や大人の思いをただ子どもにぶつけるのではなく、そこを分けて考えられるようになると、大人も子どもも楽になるかなと思います。」
子どもの興味を観察して環境を用意する
「次に、年齢に合わせた環境の作り方や声かけを聞いてみたいですね。」
「わたしは、子育てはすべて『観察』だと思っています。
子どもによって、脳の発達に違いはありますが、その子の発達を観察して、子どもが「やりたい」と興味を持ったタイミングを見逃さないこと。そして、その時に合わせた環境を整えるのが大事だなと思います。」
「年齢によっても違うと思いますが、具体的にどういう部分を観察することが大事ですか?」
「具体的には、1歳くらいから、いろんなものに興味を持ち始めます。
保育所では、安全に考慮しなければいけませんが、子どもは脳の機能が発達するにつれて、自分の体を使っていろんなことをやってみたいという傾向が見られるようになります。いろんなものを触りたい、とか、たくさん走ってみたいとか。
そういう経験を通してまた脳も発達していくので、その時の子どもの興味に合わせて、環境を用意するということをやっています。」
「私もそう思いますね。ただ、命に関わることは叱らないといけないこともあって。そういう時は、『これを今やると、危ないよ』と声をかけます。
親はすぐに物を取り上げてしまいがちですが、小さい子でもなぜ取り上げるかを伝えることが大事だと思います。」
「もう少し年齢が上がってくると、ごっこ遊びが重要だという話を聞いたのですが。」
「ごっこ遊びは1~2歳から始まっていると思うんですけど、その時期は一人遊びをさせていて、言語化ができる歳になってくるとお母さんを誘ってくるようになります。
その時、ごっこ遊びが他人とのコミニュケーションを学ぶのに大事だなと思います。
そこで、語彙を伸ばしたり、考え方を広げたりするので、そこを意識して親も見てあげるといいんじゃないかと。」
「私は、大人が必ずしもたくさん手を加えることが良い教育ではないと思っていて。
ごっこ遊びにしても、子どもにとことん付き合って、その様子を観察して、今子どもにとってどんなことが必要なのかを考えるようにしています。」
「また、ごっこ遊びの中で、親が正しい知識を入れようとしている場面をよく見かけますが、それはあくまで親の経験からくる価値観なので、子どもの幅を狭めてしまうのではないかと思います。」
「正しい知識を入れ込むのではなくて、自然と子どもが成長するのを邪魔しないという感じですかね。」
「そうですね。大人は、子どもの本当にできない部分だけを手伝うことを大事にしたいと思っています。」
「知識をたくさん詰め込むことって、子どもにとって受動的なんですね。
早い段階でそれをしてしまうと、感覚や感受性の発達が遅くなってしまいます。結果的に、自分で考える力が伸びるのを邪魔することになりますよね。」
「『入れ込む』というより『引き出す』ことが大事ということですね。」
多恵さん、由衣さん、貴重なお話ありがとうございました!
大人と子どもという関係ではなく対等な立場で声かけをすること、そして、子どもの発達を観察してその時期に合わせた環境を用意することが大切だということを学びました。
お子さんを持つ親御さんは、ぜひ参考にしてみてください!
配信はこちらからご覧いただけます。
目次もございますので、気になるところをぜひご覧ください!