今日のゲストは、東京のTENTOというプログラミング教室で出会った倉本さんと、倉本さんからご紹介いただいた若林さんです。どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
毎週こんな感じでやっています。
いいですね。格好いい!
早速自己紹介をお願いします。倉本さんお願いします。
倉本です。qramo(くらも)って名前で、いろいろなところで活動しています。僕は子供向けのワークショップを2008年ぐらいからずっと仕事としてやっています。いろいろやりすぎてよく分からないのですが、肩書は子供プログラミング愛好家ということにしています。
ITeens Labが始まったのが2014年で、福岡でも二番目くらいの子供プログラミング教室でしたが、それよりも6年も前からされていて、レベルが違いますね。
長さではないですから(笑)
では、本日初対面の若林さんも自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
若林です。奈良でCoderDojoという子供たちとプログラミングをするコミュニティ活動をやっています。倉本さんとは「Maker Faire Tokyo 2015」でお会いしました。
「プログラミング」喫茶とは
では早速ですが、「プログラミング喫茶」とはどんなイベントなんですか。
もともとMaker Faireに子供たちが作った作品を見せにいっていたんですけれど、見るだけじゃなくて自分で作れるんだよと気づいてほしくて、プログラミングやロボットの制御を体験できるコーナーとして「プログラミング喫茶」を始めました。
Maker Faireは大人向けのイベントですよね。
そうです。子供と教育というコーナーでやっていました。子供たちが15分くらいで体験できるものとメニューとして冊子にまとめて、その中からオーダーできるようにしていました。オーダーを受けたら、子供の店員がマンツーマンで15分くらい一緒にやるという形でした。
もともと子供たちがイベントをする側で企画されていたんですね。
そうですね。
先進的です。
メニューは子供たちが作っていました。お互いを相手に練習してブラッシュアップしていきます。一日で一人当たりで30回くらいはワークショップをするので、通常の一年分くらいを一日で経験する感じでしたね。
具体的にはどのようなことをしていたのですか。
僕は、scratch、micro:bit、mBotをやるくらいでしたが、若林さんが入ってからは。
Processing、Unityですね。Unityは高校生向けです。
15分でできるもので、参加者によって結果が変わるオープンエンドのものを作ってもらっていました。
子供たちにワークショップをしてもらうときには、どのくらい縛りをかけるのか、どのくらい自由にしてもらうのか。そのバランスが難しいですよね。
「プログラミング喫茶」を通して今思うこと
5年くらい「プログラミング喫茶」をされて、課題や得られた知見やこんな形式は良さそうだなと、思うところはありますか。
僕は、狙い通りしめしめと思っています。
保護者の方が驚かれますね。「子供がやるの」って!参加者のほうが年上の時もありますからね。高校生が中学生に教えてもらっていたり、そういうところが面白いです。
ある種のパラダイムシフトですね。
子供にはプログラミングなんて難しいと思っている人もいます。全然そんなんことはないです。子供たちが、実際にやっていて、それを楽しんでいるっていうことを肌でわかってもらえるのが、いいところですね。
EXA KIDSを見た大人も、衝撃を受けてドン引きして帰る、ということもよくあります。
イベントの途中で、行列で待つ人を作らないという課題が出てきました。空き状況が分かる仕組みがなかったり、どのメニューが人気があるかを集計していませんでした。すると、次の日scratchでカウンターや満席マークを作って来ていた子たちがいました。どんどん現場で解決していくので、それでいいかなと思います。
倉本さんは手を入れないんですか。
ブラッシュアップ段階で困っているときは、アドバイスするときもありますが、子供たちが、ああしようこうしようと進めていってくれるので、私は見守り役ですね。
若林さんは子供たちとは、どのように接していますか。
基本的には、子供たちのやりたいことをやるということですね。私は事務方です。今年は初めてオンラインでやりましたが、むしろ子供たちが進んでいると感じるところもありました。もっと子供たちに任せてしまってもよいかもしれません。
だんだん手を離れていっているというか、子供たちに任せて行ってる感じですか。
やるたびに、若い人たちに対する信頼は上がっている感じがしますね。
オンラインイベント「プログラミングパーク」とは
「プログラミングパーク」について、紹介してもらってもいいですか。
「プログラミング喫茶」は、オフラインのイベントです。これをオンラインでやるにあたって、oViceという二次元会場を使いました。プログラミング楽しめる公園のような場所で、参加者との交流もできるという点でoViceを選んでいます。
「EXA KIDS」ではStream Yardを使っています。広場に参加するという感じではなくて、登壇して発表するという感じです。
oViceでは、ワークショップ、競技プログラミング、作品の紹介などの場所がだいたい決まっていて、自分のアバターのアイコンを動かして参加できるようになっています(下画像はイベントの様子)。アイコンが近い人同士が交流できるので、リアルの会場に近いことができます。
会場も自分たちでデザインできるんですか。
そうです。スタッフの一人がデザインしてくれました。
大学生の方で、デザイン秘話も今度youtubeにあげる予定です。
ブラウザで参加できるんですか。
ブラウザのみです。それぞれの場所にアイコンを持っていくと、そこでやっているイベントに参加できます。
とても面白そうですね。これはいくらくらいかかるんですか。
準備も含めて一か月で2万円くらいです。同時接続できる参加者が50くらいだったと思います。
値段的にもアリですね。ワークショップをする子供たちや、参加者の方にとってoViceはハードルになっていましたか。
画面共有ができないなどのデバイスごとの設定の問題はありましたが、oViceそのものの問題はありませんでした。
スタッフは、打ち合わせやリハーサルで段々慣れていきます。ですがお客さんがどういう風にふるまえばいいのかわからなくなってしまうことがあるので、プレイベントができるといいねという話をしました。
オンラインイベントに参加することは、一般の方にはハードルが高いように感じます。
oViceは、会場をパブリックにしておけば、リンクを渡せば入ってこれるので楽です。ただ入ったあとにどうすればいいのかわからないという方もいます。インフォメーションセンターに行けるように導線を作ったのですが、その場で立ち止まってしまう方もいましたね。
どういう風にふるまえばいいのかわからないと参加するときのハードルが上がってしまいますよね。私も発言しないといけないのかなとか。
プログラミングパークでは、ビデオはオフでもいいよという話はしていました。ビデオがオンでないといけないとまたハードルが上がりますね。
「プログラミングパーク」を終えて
「プログラミングパーク」で、印象に残ったエピソードはありますか。
ワークショップのスピードがあり得ないくらい早かったんですよ。僕らは、ここまでできたかなって、確認するんですがそれをせずにどんどん進んでいく。でも、遅れている人を画面共有を頼りにちゃんとフォローしているんですよ。たまにうまくいかないときもあります。それでもカオスだって言いながら、みんな楽しんでやっているんですよね。同世代だからでしょうか。この感じは僕らには出せないなと思いました。衝撃でした。
同じ年代の子がswitchで遊んでる感じですかね。
これはリアルに現場を見ないと伝わらないと思います。ぜひいろんな人に見てほしいですね。倉本さんはどうですか。
さっきも話したお客さんの導線を課題として取り組んでくれる子が現れるのを楽しみにしています。一緒にチュートリアル動画を作ろうとか、そういうアプローチをしてくれないかな。
基本的に待つんですね。
そうですね。興味ありそうな子には話をすることもあります。動画を作っている子に、動画のネタとしてこういうのはどう?みたいな話はします。
なるほど!やりたいってなれば、やっていく感じですね。
オフラインイベントでもオンラインイベントでも、子供が全力でやりたいってなったら引き入れていきたいなと思うんですね。その場合は保護者の方に話をして進めていくことになります。保護者の方に話を切り出すことが出来なくて参加できない子もいますね。かわいそうだと思います。
今後について
今後のイベントでやりたいと思うことはありますか。
イベントを特別な一日にしたくはないんですよ。本物の公園みたいに、プログラミングパークに行けば誰かがプログラミングしてるみたいな。そういう場所にすべく、常設化のテストをしています。
特別な一日にしないって面白いですね。
プログラミングが好きな子は、実は仲間を見つけるのが難しいんですよね。Dojoもコロナの状況だと難しい。なので、オンラインで常時いられる場所があるといいなと思っています。そのためのノウハウや知見をためて行きたいですね。
scratchで結構ハイレベルなことをしている子も、周りでscratchをやっている子がいないと聞きますね。
イベントでは、子供たちがだんだん成長していくのがわかります。トラブルが起きてもちゃんと柔軟に対応できているんですよ。
ワークショップをする側の子供たちは、かっちりマニュアル通りの仕事をしているという感じではないということですね。
参加者の人がこれが面白いなというものを見つけたときは、それに合わせてほしいという話はしています。
肝を押さえて後は自由ということですね。
僕らのところにくる子は、自分でやりたいことがあって、好きだから来ているんですよね。逆にこの通りにしなさいと言われるのはキライな子たちです。
勢いを殺さず、ですね。
実際、当日まで不安に思うこともありますが、終わってみると何も問題なかったねという感じです。
そろそろ時間ですので、締めていこうと思います。本日は、ありがとうございました。