毎週日曜日19:00〜20:00、ITeens Labの代表・古林と共同代表・近藤がお届けするライブ配信【教育をUPDATE】。
この記事では、配信の様子をダイジェスト版でお伝えいたします。
今回は、ダブルゲスト!
学校現場でのICT活用やプログラミング教育の実施などを実践している宮島衣瑛さんと、こちらのライブ配信ではお馴染みの、「こどもばんぱく」などのイベントを主催する中井けんとさんにお越しいただきました。
Z世代である宮島さん、中井さんと「Z世代はなぜ社会課題に目を向けるのか」というテーマで4人で議論しました。
自分のやりたいことをやっていたら結果的に社会課題を解決していた
「まずは自己紹介をお願いします。」
「N高等学校2年の中井けんとです。僕は、12歳からイベンターとして活動し、『こどもばんぱく』などのイベントを開催しています。
僕のイベントの共通のテーマは『世の中で悪いとされている固定概念を壊して、見方を変えればプラスに働く』ということを体験してもらうことです。」
「宮島衣瑛と申します。僕は、コンピュータと教育の関係についての研究・開発・実践などを行なっている、株式会社Innovation Powerの代表です。また、子どものためのプログラミング道場を運営する、一般社団法人 CoderDojo Japanの理事をやっています。
あとは、学習院大学で教育学について勉強している、現役大学院生でもあります。」
宮島さんは、子どもたちと関わるなかで「社会課題に目を向けている子どもたちが多い」と感じていると言います。
そこで、ここからは早速、1990年後半頃から2015年頃に生まれてきたデジタルネイティブな若者世代、Z世代の特徴や世代間の違いについて考えていきます。
「僕とか近藤の立場から見ても、社会派の子どもたちを見る機会が多いんですけど、けんとくんの目から見るとどんな感じかな?」
「僕の周りの子たちも社会課題に目が向いている子が多いです。その根本には自分の困りごとがあり、それを解決していったら結果的に社会課題を解決していたということが多いですね。」
中井さんは、例えば「こどもばんぱく」を作ろうと思った時も、「世の中で自分も含めて表現ができる場所が少ない」という自分の困りごとが先にあったと言います。
時代の移り変わりとインターネットの普及
「社会課題に目が向きやすい要因の1つとして、メディアが子どもたちにとって身近なところにあって、アクションが起こしやすいというのがあるのかな?」
「それはあると思います。Twitterの普及もありますし。
そして、最近は学校で『こういうこと困ってるから助けてほしい』『こういう社会課題を解決したい』と相談したら、それに対して一緒に取り組んでくれる人も多いということを聞きました。
そういう話がしやすいので、子どもたちが社会課題に目を向けやすくなっているのだと思います。」
「僕が36歳でこの中で一番年上なんですけど。僕たちが小中学生の時は、『未成年の主張』や『真剣10代しゃべり場』が流行っていて、社会課題に目を向けていたというよりも、子どもたちが発言できるようになってきたところだったかなと思います。」
「僕は今年24歳で、ギリギリZ世代です。
僕が高校生の時に、中高生起業家ブームがありました。その時は、社会課題を解決するという大義名分が自己実現の道具となっていたように思います。
でも、今の子たちは『もし自分と同じことで困っている人がいたら一緒にどうですか』というスタンスじゃないですか。だから、見方が変わっていると思うんですよね。」
「起業すること自体が目的じゃなくて、何がしたいのかが大事になってきましたよね。」
「起業したいかどうかって、憧れがいるかどうかの話かなと思うんだけど、けんとくんは憧れの人はいる?」
「憧れる人は特にいたことないんですけど、対等な目線でリスペクトしてるのは、自分のやりたいことをやって、結果的に社会課題を解決している同世代の子です。」
「今の子たちは、課題うんぬんではなく、単純に社会に目が向いていますよね。僕の小さい頃を思い出すと、学校とか地域くらいで、コミュニティが狭かった。
でも、今はインターネットやSNSで社会に触れられるようになり、社会との近さを感じられるようになっていて、情報の受発信ができるようになってきましたよね。」
「インターネットを活用して広い世界を見ているから、社会のことについてよく見えているのかもしれないですね。」
ここまで世代間の社会課題についての考え方の違いや、社会との距離感の変化について議論してきました。インターネットの普及により、社会との近さを感じられるようになったことが、社会課題に目が向きやすい要因の一つと考えられます。
大事なのは「大人と子どもの対等さ」
「Z世代に対して、大人が期待していることにはどう思う?」
「社会課題を解決してくれるだろうと期待している方々が、僕たちの活動に価値をつけていく、みたいな感覚があって。
例えば、こどもばんぱくの資金のためにプレゼン大会に出た時に、SDGsの番号を勝手につけられて。『あなたの活動はこれです』みたいな。
だから、社会課題の解決という価値は活動に勝手についてしまっているのかなと思います。」
「大人は若手に期待するじゃないですか。でも、大事なのは『相互のリスペクト』ですよね。
お互いに『この人のここはすごいな』『こういうところは自分にはないな』と思い合える関係が大事かなと。それが今の世代にあるのかもしれないですね。」
「そうですね。けんとくんを見てると、こちらが対等に見ざるを得ないんですよね。けんとくんが対等に接してくれるからこそ、僕もそうなってる。
大人と子どもの対等さが今変わって来ているのかな。」
「僕の周りの大人も対等に接してくれる人が多いですね。」
「学校以外のコミュニティで、対等に接してくれる大人と関われる場所があるというのが大きいかもしれないですね。
学校や塾などの習い事では、支配的な関係になってしまうので、そういうコミュニティがあると、大人のことを一人間として見られるのかなと思います。」
「それは大きいですね。
60分かけて、いいところに着地できたかなと思います!」
宮島さん、中井さん、貴重なお話ありがとうございました!
Z世代が社会課題に目を向ける要因としては、インターネットの普及で社会との距離感が近くなり、アクションを起こしやすくなったことが挙げられました。
また、その中で大人と子どもが関わる時に重要なことは、「相互のリスペクト」だという結論になりました。
配信はこちらからご覧いただけます。目次もございますので、気になるところをぜひご覧ください!