次世代型ITスクールITeens Labでは2023年1月より試験的にメンター制度の実験を行っています。
これからの教育の在り方について真剣に向き合い、アップデートしていくために実証実験をスタートさせました!
メンター制度とは
生徒一人につき一人の「メンター」を設定します。
毎月、生徒・保護者ともに1回ずつ、メンターと30分程度の面談を行います。
面談の中でITeens Labの中での活動方針や、スキルの成長方針など本人の希望を聞き取りつつ、相談または助言をします。
また、メンターとの面談ではITeens Labの活動をメインのトピックとして取り扱いますが、学校のことやプライベートなことなど個人的なトピックに関しても相談できます。
メンタリングの目的
- 生徒が自分の中で学びたいものを明確にすること
- メンターは最適な教材(学び方)を一緒に考える
- 生徒が必要な情報にアクセス出来るようにする
- 保護者のIT教育に対するコミットメントを高める
現状は実証実験段階のため、会員数名にモニターになっていただいています。
背景
メンター制度の目的
・生徒のITeens Labでの活動をより有意義なものにする
・生徒・保護者と連携の取れた中長期的な指導方針を作成し、日々の学習や活動に取り組んでもらう
・次世代型教育スタイルの実証実験
インターネットや様々なツールの発達、そしてAIの台頭など社会構造が大きく変化する中で、既存の教育システムは時代に合った最適なものだと言えるでしょうか。
知識を暗記し、あらかじめ正解が定められた問題を解く能力は既に時代遅れと言わざるを得ません。
教育者側も子供たちに提供する価値について時代にあったものを提供しなくてはいけないと考えています。
これからの時代にITeens Labが子供たちに提供出来る価値は何か、を考えた結果、一つの答えが「子供たちに寄り添い導く」ことです。
しかし、実際にその価値をどう提供していくのか、に関してはまだまだ未知数の部分がたくさんあります。
長い目でこの変化に対し、ITeens Labはアップデートを繰り返していく方針を立てました。
実施内容
2023年1〜3月の期間において5組の生徒・保護者にメンター制度のモニターになっていただきました。
毎月生徒・保護者それぞれとメンターが30分ずつの面談を行いました。
メンターはこば先生・ドゥー先生・とよ先生の3名が務めさせていただきました。
メンタリングの内容は
- 自己啓発(目標やモチベーションの向上)
- キャリア教育(キャリアの観点育成や進路相談)
- カウンセリング(保健室的な悩み相談)
- ITeens Lab活用のガイド
- レクリエーション(面談自体を楽しむことが目的)
- コーチング(本人のやりたいことを掘り出していく)
上記の中から各生徒に合った内容をメンターが選び、進めていきました。
実証実験を始めるに当たっての課題
- 生徒からニーズがあるか調査
- 保護者からニーズがあるか調査
- 現実的にどの程度のリソースが必要になるか&メンタリングを実施する上での実務的なタスクの洗い出し
- 月30分程度のメンタリング(面談)で何かしらの変化・効果が得られるか
- その他、実際に実行した際に、得られる問題点や課題・メリットを洗い出す
実施してみてのフィードバック
生徒本人の感想
- 大人の現実を知った。
- 高校の数学は何を言ってるのかわからないという点で同意した(笑)
- 一緒にゲームなどをしてくれたり楽しい話を聞いたりしてくれる
保護者の感想
- プログラミング以外のことを話すことで視野が広がった
- 自分が学んできたことを何かの役に立てられるか考えたりする様子が見られた
- 先生の、こういう道もある、こうじゃなくてもいい、という緩い雰囲気の声かけがありがたかった
- 親の知らない子どもの考えが知れた。
- コミュニケーションが苦手であるが、オンラインだと話せる事がわかった。
- 家庭内での子育てに関する課題を見つめる良い機会になっている
- 色んな先生と話してみたくなった
- 先生達の考え方が次世代型であることはよくわかった
メンターを務めた先生の感想
- メンター側の自己満にならない、焦って結果を出そうとしない、しっかりとそこにいる子供に寄り添うということが大事だと感じた。
- メンタリング中の手応えは薄くても、意外に本人響いていることが多かった、という点で学びがあった
- 保護者から聞き取った生徒像と、メンターが直接会話してみた生徒像に乖離があった。
- もともと面識が無い生徒の場合、生徒と信頼関係をつくるための時間が足りず苦労した。
- 今回の3回のメンタリングは効率的であったとは言えないが、本人の行動に変容が見られ、確実に成果があった。
- 特に保護者側のニーズを強く感じた、そういった意味でもメンタリングに対するプレッシャーは強かった。
- 特に生徒に対して、メンタリング制度の目的を理解してもらうかが課題と感じた。
- 一対一でしっかり話すことにより、本人の特性がより把握できた。
- 今までこういう活動をやりたいけど具体的に行動できなかったという状況が面談によってアプローチ方法など話し合い、実際に行動に移せるようになった。
- 特性を知ることによりゼミでの指導・アプローチに活かせた。
- ゼミ指導のモチベーションが上がった。
- 良い緊張感を保ちつつ、シンプルに楽しかった。
課題に対しての所感
- 生徒からニーズがあるか調査
- 申し込みフォームがほぼ保護者のみで完結だったために生徒ニーズに関してはあまり分からなかった。
- 2回め(2023年4月)の申し込みではフォームにて生徒の意志も聞き取るようにした結果、生徒からも少なからずニーズがあることが分かった。
- 保護者からニーズがあるか調査
- 限定的な募集であったにも関わらず、申込数は少なくなかった。
- ただし、母数を考慮するとさほど多いとは言えない。
- 周知が徹底できていない側面もあるので、今後さらにニーズの掘り起こしが可能だと考えられる。
- 現実的にどの程度のリソースが必要になるか&メンタリングを実施する上での実務的なタスクの洗い出し(予定を実行してすり合わせる)
- 面談時間と別に、準備に時間がかかることがわかった(これは予想していたとおりだった)。
- 面談の時間は月に30分程度なので、スケジュールがまとまればメンター側のリソースはそこまで重くない。
- スケジュール調整にリソースがかかった。
- メンタリングの内容や目的方針などをすり合わせるために、メンター間での情報交換・ミーティング・また通常の授業担当の講師との情報共有が重要なことが分かった。
- 月30分程度のメンタリング(面談)で何かしらの変化・効果が得られるか
- 事例
- Sくん
- 行動変容が見られた
- Kちゃん
- 保護者が知らない本人の内面を聞き取ることができた
- Sくん
- 事例
- その他、実際に実行した際に、得られる問題点や課題・メリットを洗い出す
- いわゆる学校の先生などと別に、様々な大人と接する機会を作りたいという保護者ニーズが想像以上にあった。
- 関係性の構築が、予想していたよりも重要であることが判明した。
- 関係性の薄い生徒に対するメンタリングがあまり成果がなかったように感じられた。
- 生徒側の学年によって、メンター制度から享受できるメリットに差があるという仮説がたった。
今後の展開
2023年4〜7月の期間のモニターを会員内から募集し、引き続き実証実験を行います。
メンターを担当する先生やモニターの数も増やしていきます。
次回の課題(明らかにしたいこと)
- メンター担当人員を増やし、メンターのパーソナリティまたは生徒との関係性によってどのような差異が生まれるのかの例数を増やす。
- メンター個人にどの程度効果が依存するのかを解明したい。
- 関係性の薄い生徒に対するメンタリングで定式化されたフォーマットでアイスブレイクを行う。これによってもともとの関係性の薄さをどの程度緩和できるかをテストする。
- 継続してメンタリングを受ける生徒の効果をテストする。
- 継続してメンタリングを行うがメンターが変更になるケースで効果をテストする。
また先行研究や事例などの調査も行っていきます。
今後も長期的に実証実験を繰り返し、より良い教育の在り方を模索しながら、進捗を共有していく予定です。