毎週日曜日19:00〜20:00、ITeens Labの代表・古林と共同代表・近藤がお届けするライブ配信【教育をUPDATE】。

この記事では、配信の様子をダイジェスト版でお伝えいたします。

今回のゲストは、不登校や発達障害を持つ小中高生向けの家庭教師を運営する「あいむ」代表の藤野荘子さん。

あいむ の活動を通して見えてきた現状や課題、ソーシャルビジネスに関わる上で大切にしていることなどを語っていただきました!興味のある方はぜひご覧ください!

 

学習支援を通して居場所づくりを行う「あいむ 」

 

自己紹介をお願いします。

 

任意団体「あいむ」代表の藤野荘子と申します。「あいむ」は現在NPO法人の申請中で、内容としてはオンライン・オフラインで居場所型家庭教師をやっています。

対象は不登校や発達特性を持った子どもたちで、学習支援を通して彼らが受け入れられる居場所を作りたいという思いから「居場所型家庭教師」という名前をつけました。

 

活動は福岡?

 

私が住んでいるのが福岡なので、福岡中心で活動しています。ただ、オンラインでもやっているので鹿児島や関西の生徒もいます。家庭教師なので特に教室はありません。

 

簡単に経歴を教えてください。

 

福岡出身で立命館アジア太平洋大学で勉強していました。大学卒業後、約2年半IT系の会社でエンジニアとして働いていました。その後、福岡に戻り、現在は九州大学大橋キャンパスで働きながら自分のNPOの活動をしています。

 

あいむ の活動についてもう少し具体的に教えてもらっていいかな?

 

大きく分けて3つの事業があります。1つ目は、生活保護を受けている家庭、収入が一定以下の家庭、児童養護施設の子どもたちを対象にした無料の学習支援です。2つ目は、小中高生向けの有料の家庭教師です。

3つ目は、最近始めた一対一の探究学習です。探究学習は、好きなものを見つけてそれを調べてやってみようという学習です。例えば、プログラミングをやってみたり、ホームページを作ってみたりしています。

 

1年の活動を経て見えてきた現状と課題

ゲストの藤野荘子さん(右)

 

あいむ はいつからやっているんだっけ?

 

去年の9月ごろからなので、今始めてから1年くらい経ちました。

 

1年くらいやってみて、手応えはどうですか?

 

児童養護施設の子たちの要望を聞いたりして、塾や習い事に行きたくても行けない子たちが一定数いるということがわかったので、そこに対して支援の必要性はあるなと感じます。

ビジネスの面で言うと、塾や家庭教師業界の競合はたくさんありますが、ちゃんとコンセプトを立ててやれば需要はあって、生徒は来てくれるなと思いました。

 

あいむ は、どうして不登校や発達特性を持った子どもたちを対象にしたサービスをやっているの?

 

私自身、学生時代にいじめられて不登校だった時期があるのですが、その時に学校に戻れたのは先生や家族などの支えのおかげで、環境に恵まれていました。でも、何か困難を抱えた時に、環境によっては、その後の生活を成り立たせることができなくなってしまう子もいるので、そこに関わりたいなと思いました。

人のために活動していると思われることもあるのですが、私は「不登校だった過去の自分を肯定したい」という思いから、自分と似たような境遇の人たちと関わる仕事を選びました。

 

なるほど。特に小・中学生の子は、学校の先生、友達、家族で周りの環境がほぼ決まってしまって、自分の力だけではどうにもならないことがあるよね。あいむ をやっていてどんな現状があるの?

 

家にひきこもっている子が結構いるんですけど、子どもより親御さんが困っている家庭が多いです。家庭教師なのでもちろん子どもと接したり、勉強を教えたりはしますが、親御さんの相談にのったり、話をしたりすることも多いですね。

経済的に困っている家庭に対するサービスに関しては、福祉的側面が大きいです。例えば、家に食べる物がないという状況を聞いて、他のNPOと連携して食料の支援をしたこともありました。

そのような家庭は、経済的な貧困だけではなく、情報のリテラシーの低さにも課題があるなと思います。何か困った状況になった時に、当事者がどこに相談すればいいのかわからない、どこに助けを求めたらいいのかわからないという現状があります。

 

それを聞いていると、あいむ って子どもに何かを教える以上のサービスを提供する団体になっているよね。家庭環境にどこまで踏み込んでいくのかという話もあると思うんだけど、そこに関してはどう考えている?

 

どんな状況にあっても、子どもと親御さんと話した上で拒否されたことはしないと決めています。状況によっては、判断に悩むこともたくさんあるし、自分がやっていることが本当に正しいのかと思うこともありますが、今のところは本人の許可なくこちらが動くことはしないようにしています。

 

活動を長く続けるために、信頼を得ながら関わる人の輪を広げていく

 

今回は「すり減らずに教育に関わる」というのがテーマだけど、これに関してどんなことを実践している?

 

人に関わる時に、無理に何かをさせないようにすることは気をつけています。例えば、業務に関してもメンバーを無理にモチベートしないとか。

NPOやソーシャルビジネスに関わっている人の中には、燃え尽きてしまう人が多いので、そうならないように気をつけています。あいむ の活動は長く続けることが大事だと思っているので。精神的にも経済的にも安定した状態でいるようにしています。

 

あいむ の活動はみんなの信頼を得ながら長期的にやっていくことが大事だね。あいむ の活動をやっていて満たされるのはどんな時?

 

やっぱり生徒の成長や変化が嬉しいですね。全然心を開いてくれなかった生徒が相談をしてくれるようになったとか。それに加えて、メンバーの成長を見れたり、メンバーに囲まれて仕事をしたりすることが幸せですね。

 

卒業生や関わってくれる人が増えると、社会に味方が増えるよね。教育のいいところはそういうところかなと思うね。

 

たしかにそうですね。あいむ の組織にも生徒にもいい人がたくさんいるので、この輪が広がっていけばいいなと思います。

 

藤野さん、貴重なお話ありがとうございました!

配信はこちらからご覧いただけます。目次もございますので、気になるところをぜひご覧ください!